『冬用ワイパーを夏に』『夏用ワイパーを冬に』使ってはいけないのか?ワイパー交換の意味とは

ワイパー

車に欠かせないパーツとして、真っ先には上がらないかも知れませんが、非常に重要な役割を果たしているワイパー。

そんなワイパーですが、一定以上に雪が降る地域では夏と冬でそれぞれ『夏用ワイパー』と『冬用ワイパー』を使い分ける必要があります。

『夏用ワイパー』と『冬用ワイパー』ですが、両者の違いとは何でしょう?

さらにはどうしても取り換えなければいけないのでしょうか?

今回はそういった点についてご説明します。

雪とはあまり縁のない地域の方は、そういった地域で暮らす事になった場合を想定してお読み頂ければ幸いです。

夏用ワイパーと冬用ワイパーの違い

ワイパー画像2

まずはワイパーの種類について、夏用ワイパーと冬用ワイパーの違いについて簡単に説明して行きましょう。

夏用ワイパー(雨用ワイパー)

夏ワイパー2
©PIAA

恐らく全国共通で一般的なワイパーと言えば「夏用ワイパー」の事を指すのだと思います。

夏用ワイパーの外観的な特徴としてはフレームがむき出しとなっている点があります。

冬用ワイパーと比較した場合の他の特徴としては、ワイパー一つあたりに使われているゴムの量が少ないので、冬用ワイパーと比べて安い事が挙げられます。

さらにはワイパー本体はそのままでゴムだけ交換する事も可能であり、とにかくコスト面で冬用ワイパーと比べてメリットが大きい仕様となっています。

ゴムの厚さという点でも冬用ワイパーと比べれば薄い作りとなっている場合が多く、その点もコスト安に繋がっています。

まとめるとこんな感じです。

  • フレームがむき出し
  • 冬用ワイパーより安い
  • ゴムだけの交換が可能
  • 冬用ワイパーとくらべてゴムが薄い

冬用ワイパー(雪用ワイパー)

冬ワイパー1
©PIAA

寒冷地以外の人だとひょっとしたらなじみがない可能性があるのがこの「冬ワイパー」です。

夏用ワイパーとの外観的な違いは、フレーム自体がゴムで覆われている点にあります。

なぜこのような仕様となっているかと言えば、ワイパーは構造上、フレームがしなる事でフロントガラスにゴムがフィットして雨を綺麗にかき分けるように出来ています。

それが冬になり雪が降るとフレームの可動部が凍結してフロントガラスにゴムがフィットしづらくなってしまう可能性が出てきます。

そこでフレームの可動部分をゴムで覆う事で凍結を防いでいるのです。

さらにはガラスに接着する面のゴムに関しても、夏用ワイパーと比べてゴムが厚手になっており、ゴム自体の凍結によるフィット感の低下を防いでいます。

そういった結果として、冬用ワイパーは夏用ワイパーと比べて使用する部材の多さから割高となっており、さらには構造上ゴムだけの取り換えが出来ないので、交換する場合には本体ごとの交換となります。

あと付け加えるなら、冬用ワイパーは雪をかき分ける事を想定している分、同一車種用のものであっても夏用ワイパーと比べて少しだけ短く設計されています(長いと雪の負荷が大きくなってかき分けづらくなる)。

特徴をまとめるとこんな感じです。

  • フレームがゴムで覆われている
  • 夏用ワイパーと比べて割高
  • ゴムだけの交換はできない
  • 夏用ワイパーと比べてゴムが厚く凍結しづらい
  • 夏用ワイパーよりも少しだけ短い

夏用ワイパーを冬に使う

先述のとおり、冬用ワイパーを使う意味としてフレームの凍結を防ぐという意図があるので、冬に夏用ワイパーを使い続ける事はおすすめ出来ません。

もちろん夏用ワイパーだからといって雪を全然かき分けられないわけではありませんが、冬用ワイパーと比べてフィット感は著しく劣ります。

場合によっては走行中に前の視界を塞がれるような事にも冬用ワイパー装着時よりはなりやすいので、ある程度雪の降る地域にお住まいの方は、基本的に冬には冬用ワイパーを装着する事をお勧めします。

冬用ワイパーを夏に使う

こちらに関しては、基本的には問題ありません。

単純に冬用ワイパーの方が高価であり、なおかつゴムだけの交換ができない仕様なので「もったいない」というだけで、冬用ワイパーのまま年中過ごしても良いと言えば良いでしょう。

ただ繰り返しになりますが、夏用ワイパーの方が安価であり尚且つゴムだけの交換も可能なので、ワイパーの劣化を考えると冬用ワイパーを夏も使い続けるのは得策ではないとは思いますが。

例えば、次の冬で交換する事を前提として冬用ワイパーを夏も使い続けるようなケースなら問題ないと思います。

結局はコストの問題

ここまで語ってきたように、夏用ワイパー(雨用ワイパー)と冬用ワイパー(雪用ワイパー)の違いとは、冬の環境に適応した分高価になったのが冬用ワイパーであるという認識で問題ありません。

夏用ワイパーを冬に使う事は実用上で問題が起こる可能性があるのでお勧めできませんが、冬用ワイパーを夏に使うのは機能的には問題ありません(少し短いので拭き取る面積は若干小さくなりますが)。

「年に2回も取り換えるのは面倒だから、駄目になるまで冬用ワイパーを使い続ける」

という選択をしている人も中にはいるようです。

とにかく重要なのは、ちゃんと視界をクリアにできるレベルの性能を有した状態でワイパーを使い続けるという事。

ワイパーのゴムが劣化してフィット感が損なわれていたり、あるいは切れてしまって正常に雨や雪を拭き取れなくなってしまった状態を放置するのは非常に危険な事です。

冬用ワイパーを使い続けても良いとは思いますが、綺麗に拭き取れなくなった時にはくれぐれも速やかに交換する事を心掛けて下さい。

タイヤなどと比べると「とりあえず付いていればOK」と思いがちなワイパーですが、時にはワイパーの性能悪化が引き起こす事故というものもありますので、安全面を考えると決して軽視できないパーツでもあります。

なんか拭き取りが甘いなと感じたら、それほど高価なものではありませんので、早めの交換をお勧めします。

以上、夏用ワイパーと冬用ワイパーに関するお話でした。