糖質制限ダイエット中のお酒はワインがオススメという嘘

糖質制限ダイエットをする上で、重要な要素の一つとして『お酒』についての話があります。

糖質制限ダイエットの場合は、カロリー量ではなく糖質量を気を付ける必要があるのですが、含まれる糖質量はお酒の種類によって大きく異なります。

基本的には蒸留酒が醸造酒に比べてオススメだと言えるのですが、醸造酒の中でもなぜかワインは糖質制限中でも飲んで大丈夫!というような言説をネット界隈で頻繁に見かけます。

それが本当なのか…というか、嘘なんですが、何故に嘘なのかについて語って行きたいと思います。

お酒の種類

まずはお酒の種類について簡単に説明して行きたいと思います。

醸造酒

果実や穀物をアルコール発酵させて作られたアルコール飲料です。

代表的なものとしては、日本酒、ビール、ワインといったものがありますね。

これらのお酒は一般的にアルコール度数が後述の蒸留酒よりも低く、高いものでもアルコール度数が20度を超える事はほとんどありません。

糖質量が比較的多い。

蒸留酒

先述の醸造酒を蒸留させる事で生成したアルコール飲料です。

醸造酒を蒸留する事で、より高い純度のアルコールを得る事が出来るため、アルコール度数は最も高いもの(スピリタス)で96度にまで達します。

代表的なものとしては、焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウォッカといったものがあります。

蒸留酒の性質上、糖質は含まれていない。

混成酒

醸造酒や蒸留酒に様々な成分を加えた再製酒です。

代表的なものとしては、梅酒や白酒、リキュールやシェリー酒などがあります。

糖質量やアルコールの度数は使用する醸造酒や蒸留酒の種類によって異なり、様々な度数や風味のものが存在しています。

醸造酒の糖質量

糖質量が蒸留酒に比べて多い醸造酒ですが、その中でもそれぞれの酒類によって糖質量は異なります。

代表的な醸造酒の糖質量がどの程度なのかですが、こんな感じとなっています。

酒種 100gあたりの糖質量
日本酒 4.9g
ビール(淡色) 3.1g
ビール(黒) 3.4g
ワイン(赤) 1.5g
ワイン(白) 2.0g
ワイン(ロゼ) 4.4g

参考文献:ライザップ糖質量ハンドブック

ワインは糖質量が少なめ?

上記の表を見て見ると、たしかに赤ワインや白ワインは、日本酒やビールに比べると低糖質だと言えます。

ただ一方で、ロゼワインは日本酒に迫るほどの糖質量を含んでおり、ビールを軽く凌駕しています。

これを見ると、「なるほど、ワインは赤なら大丈夫なんだな…ロゼワインは糖質量が多いから避けよう」と思いますよね。

しかし、そうではないんです。

ロゼワインの糖質量が高いのは、言い換えれば味わいの問題とも言えます。

ロゼワインを飲んだことのある人なら分かると思いますが、ロゼは赤や白と比べても比較的甘い口当たりのものが多いと思います。

要するに、「糖質量が多いから甘い=甘いワインは糖質量が多い」という事であって、決してロゼワイン固有の問題ではないのです。

例えばこのワインですが、

こちらの赤ワインに含まれる糖質の量は、100mlあたりで5~9gとなっています。

前項目の表と見比べて貰えれば分かりますが、日本酒の糖質量を上回る数値となっており、かなりの糖質量を含んでいる事がわかります。

しかもこの商品はラベルでの表記によると、甘辛度は「中口」との事です。

中口でこの数値だと、甘口は一体どれほどの糖質を含んでいるのだろうかと恐ろしくもなりますね。

しかし多くのワインはラベルにこういった成分表記がないので、味わいで何となく想像するしかありません。

この「飲んでいるワインの糖質量が分からない」問題は非常に厄介で、表記されている甘辛度での判断では思わぬ落とし穴にはまる可能性も大いにあります。

そうなってくると糖質制限中にも比較的飲みやすいワインは、「明らかに糖質の少なそうな超辛口のワイン」に限定される事になり、決してワイン全般が糖質制限中に飲むアルコール飲料としてお勧めであるとは言えないのです。

なぜ『ワインは大丈夫』論が出てくるのか

このように、たとえ赤ワインであったとしても、「ワインは糖質制限中でも飲んでOK!」と言えるようなものではない事は明らかです。

しかしネットの記事を辿って行くと、「赤ワインは大丈夫」といった記事を多数見かける現状があります。

なぜこのような事になるのかと言えば、「ワイン=健康に良い」といったイメージを損なわないようにしたい意識の表れではないかと思っています。

お酒の中でもワインを好んで飲む人に聞いてみると、ワインの健康効果について非常に肯定的な認識を持ってワインを嗜んでいる人が多い事を感じます。

お酒は基本的には体にあまり良くないイメージが定着している中で、ワインの持つ「治外法権感」は一種独特なものがありますよね。

そんなアルコール飲料界の健康部門代表であるワインが肥満の原因となってしまうようなイメージが定着するのは、色々と不都合も多い事でしょう。

そういった様々な方面の思惑から、「糖質制限中は日本酒やビールは駄目だけど、ワインなら飲んで良し」といった認識が呪詛のごとく語られているような印象もあります。

糖質制限中の醸造酒について

基本的には、糖質ゼロの蒸留酒を嗜む事をお勧めします。

しかし当然お酒の好みは人それぞれ、やはり日本酒じゃなきゃ、ビールじゃなきゃ、ワインじゃなきゃ、という人も少なからずいる事でしょう。

そうした場合、個人的には量に気を付ければ別に飲んでも良いんじゃないかと思っています。

たしかに醸造酒は蒸留酒に比べて高糖質ではありますが、とは言え飲む量を控えていれば、現実問題としてそれほど決定的に肥満を誘発するような糖質を摂取する事になる訳でもありません。

むしろ気を付けたほうが良いのはお酒のお供に何を食べるかではないでしょうか。

お酒を飲む時に気を付ける事として

  • 多量に飲まない
  • 酒の肴は低糖質なものを選択する

この二点に気を付けている分には、蒸留酒だけではなく醸造酒も問題なく楽しんでいける事でしょう。

結局のところ、糖質制限中に関わらずアルコールの飲みすぎは良くない…これに尽きるのでしょう。