糖質制限ダイエット最大の魅力は、糖質の摂取にさえ気を付けておけば、比較的自由に好きなものを食べる事が出来る点です。
その事がストレスのない食生活へと繋がり、ひいては持続的なダイエットを可能としています。
その点がこれまで主流とされてきたカロリー制限ダイエットと比べて大きな強みとなり、多くの人が糖質制限ダイエットに関心を寄せる要因にもなっています。
しかし、そんな食生活によってリスクを高めてしまう可能性のある病気というものもやはり存在しています。
そんな中から、今回は痛風(つうふう)について取り上げて行きたいと思います。
痛風とは?
痛風の読み方と語源
読み方は「つうふう」です。
語源は「風が吹いただけでも痛い」と形容されるほどの痛みから。
掛かった事のある人であれば分かると思いますが、その語源に納得できるぐらいの痛みが、主に足の関節付近に生じます(親指の付け根や足首に生じやすい)。
痛風の症状
足の親指の付け根や足首、膝など基本的に足まわりの関節に炎症が生じます(場合によっては手の関節に生じる事もある)。
足の関節、特に足首付近に炎症が生じた場合は歩行すら困難になる場合も多く、日常生活を営む上で決して侮れない脅威となる症状です。
軽い兆候を伴うケースが多いものの、経験がないとそれを痛風の兆候と判断する事は難しく、基本的には唐突に訪れる関節の痛みであるため、朝起きると足が痛くてまともに歩けないようなケースも少なくありません。
痛風の原因
痛風に掛かる原因は、血中の尿酸値が一定以上に高い事により関節内に尿酸の結晶が生じ、その結晶を白血球が異物として攻撃する事で関節炎(痛風)が発生します。
このような血中の尿酸値が一定以上に高い状態を『高尿酸血症』と呼びます。
高尿酸血症は痛風以外にも深刻な病気の原因となりうるもので、尿路結石や様々な生活習慣病のリスクが高まるため、足の痛みぐらいなら…と軽い気持ちでいると更に重大な病気が襲い掛かってくる事にもなりかねません。
血中の尿酸値は体質的に男性の方が女性よりも高く、高尿酸血症も男性(特に30代以上の男性)に多くみられるため、痛風も基本的には男性が掛かりやすい症状だと言えます。
とは言え、近年は食生活の変化(欧米化)などによって女性の患者数も増えているので、女性にとっても縁遠い病気とも言えなくなって来ているようです。
痛風の治療
痛風と思われる症状が発生した場合、すみやかに病院(総合病院あるいは整形外科)へ行くのが賢明です。
痛風の症状が発生した場合、まずは投薬などにより患部の痛みを和らげる処置をとり、症状が治まってから痛風の原因である高尿酸血症の治療(血中尿酸値を低下させる治療)を行う事になります。
高尿酸血症の治療は生活習慣の改善に加えて投薬を用いる事で行われます(生活習慣の改善だけで十分と判断した場合には投薬は行わない事もある)。
痛風の症状自体は放置しておいても三日ぐらいで痛みのピークを抜けますが、原因となる高尿酸血症を放置しておけば再び痛風が生じる可能性が高いので、確りと病院で治療を行う事を強くお勧めします。
痛風の予防(生活習慣)
痛風の原因が高尿酸血症にある以上、高尿酸血症を改善する事が痛風の予防につながります。
高尿酸血症にならないために大切な事は、とにかく生活習慣を整える事。
血中の尿酸値が上がりやすい生活習慣として、以下のような事があげられます。
- 水をあまり飲まない
- 食べ過ぎ
- お酒の飲みすぎ
- ストレス過多
- 運動不足
こういった点を改善する事で、高尿酸血症になりづらい環境を保つことができますし、すでに高尿酸血症になってしまっている場合にも尿酸値を正常な範囲へ引き下げる事にも繋がります。
- 水分を積極的に取る(水で摂取するのが望ましい)
- 食べ過ぎ注意
- お酒の飲みすぎ注意
- ストレスフリーな生活を意識
- 適度な運動を心掛ける
これらの事を意識して日々の生活をおくる事が、なによりの痛風対策となります。
痛風の予防(食事)
基本的には生活習慣の改善が最も重要ではあるものの、一応以下のような食品には血中の尿酸値を上昇させやすいとされるプリン体が多く含まれている事は知識として知っておきましょう。
- 魚の干物(イワシの干物、アジの干物など)
- 魚の内臓(白子、肝など)
- 獣肉の内臓(鶏レバー、豚レバーなど)
- アルコール(特にビール)
アルコールに関しては、プリン体の含有量に関わらず血中の尿酸値を上昇させる効果がありますので、「ビール以外ならOK」という訳ではない点は注意して下さい。
さらに高尿酸血症は高血圧との合併症も多いため、塩分の取り過ぎにも注意する必要があります。
糖質制限ダイエット(ロカボダイエット)と痛風
ここまで痛風について説明してきましたが、この痛風と糖質制限ダイエットに関係があるのか?と思った方もいるかもしれません。
たしかに痛風に掛かる要因の中に「炭水化物の摂取不足」という項目はありませんから、そういった疑問が浮かんだとしても無理はありません。
しかし、高尿酸血症になりやすい生活習慣を見て行くと、糖質制限ダイエットをしている人が陥る可能性がある要素が散見される事に気付くのではないでしょうか。
- 食べ過ぎ
- お酒の飲みすぎ
- 運動不足
糖質制限ダイエットの強みとして、糖質量(さらにはGI値)に気を付けてさえいれば好きなものを好きなだけ食べて良いという考え方がありますが、これが結果的に糖質以外の「食べ過ぎ」に繋がる事も少なくないのではないでしょうか。
更には糖質を多く含むお酒さえ避ければ好きなお酒を嗜める点も糖質制限ダイエットの魅力ですから、ビールを避けつつウイスキーなどの蒸留酒をついつい飲み過ぎてしまったり…という人も多いのでは?
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糖質制限ダイエットは基本的に食事制限によるダイエットですから、運動をする意識は然程持っていない人が多いので、結果的に運動不足な状態のままダイエットを行っている人も多い事でしょう。
このように、糖質制限ダイエットの美点に甘えすぎると、思わぬ落とし穴にはまる可能性がある点は、すべての糖質制限ダイエット実施者の方々に認識して頂きたい事です。
ただ痩せれば良いのではなく、「健康的に痩せる」というのが、糖質制限ダイエットのモットーですからね。
くれぐれも痛風(そして原因となる高尿酸血症)にはご注意下さい。